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内藤忠行私論(続) | |
『出会い-2』 ![]() 相槌を打つ要領で「これはいつごろ撮られたものですか。」と棚に置かれたジャケットを指差した。 「うーん、・・これね。アフリカいく前だから、もう四十年ぐらい・・」 いきなりジャケットのなかからマイルスの囁くようなペットが聞こえてきそうな緊張感がセピア色の陰影にカットされている。 『これは原点だな。』と、なぜか唐突に思った。 『四十年、この人はこの写真を宝物のように大切にしてきた。少年がはじめて捕ったカブト虫をいつまでも棄てられないように。』 ビギナーズラックと人は言うこともあるが、無心で作った最初の一作には、たとえ生硬であっても対象と作者との調和というか、必然性みたいなものが必ず表われる。 そのあと氏との会話の中で度々出てきた 『スピリチュアル・・・』がなんの気負いも無く表現されていた。 氏を訪ねた目的は二つあった。一つは蓮の花のコレクターとして純粋にブルーロータスを撮った内藤忠行という作家を見たかった、そして話をしてみたかった。 「何故、蓮の花を取り出したのですか。どうやったら、こんなに不思議な写真を取れるのですか。」 それほどに、ブルーロータスはいままで見た蓮の花の写真とは何かが違っていた。 今一つは東京と上海でオープンする蓮花画房のキーコンセプトとなるイメージにブルーロータスを使いたかった。たとえばウエブサイトのトップページとかにも。 内藤忠行という写真家を知ったのはそのJALの機内誌であったし、彼が斯界の権威であるのか、それともアマチュアのカメラマンに毛の生えたようなものなのか、それさえも見当がついてなかった。もし前者なら著作権料を含めその利用料がどれ程のものなのか。 ![]() 『あんまり高い事を言われたら、早々に退散するしかないか。』などと思いながら氏を訪ねたのだった。 氏は何を思っていたのだろう。氏は誰にでもこんなに饒舌に、無防備に自分の作品に託してるとはいえ自身の来歴を語るのだろうか。 ![]() |
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投稿者 renkagabo : 2006/07/24 12:54 | コメント[0] |
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