2015/12/20 17:14

○木蝴蝶(もくこちょう)

 インドから中国南部の山野に自生するノウゼンカズラ科の高木、ソリザヤノキ(Oroxylum indicum)の種子を用いる。

 種子は半透明の膜質の翼によって包まれ、4×7cmくらいの大きさの楕円形で、あたかも蝶のような形をしているため木蝴蝶の名がある。種子には脂肪油があり、オレイン酸(80%)やバイカレイン、オロキシンA・Bなどが含まれる。

 漢方では潤肺・止咳・舒肝の効能があり、咳嗽や嗄声、咽頭痛、腹痛などに用いる。また傷口を収斂する作用もあり、煎液で外用する。マレーシアでは樹皮を健胃・止血・強精剤として用いる。

2015/12/14 14:36

○木槿皮(もくきんぴ)

 中国、インドを原産とし世界各地に植栽されているアオイ科の落葉低木ムクゲ(Hibiscus syriacus)の枝皮や幹皮を用いる。一般に薬用には白花種が使われる。また花を木槿花、果実を木槿子といい薬用にする。

 日本には室町時代に中国から渡来し、ムクゲの和名は木槿皮の訓読みに基づく。四川省を主産地とするため川槿皮という別名もある。ちなみに土槿皮とはマツ科のイヌカラマツ(Pseudolarix amabilis)の樹皮の生薬名であるが、効能が木槿皮と似ていることから名付けられたといわれる。

 ムクゲの樹皮にはノナノン酸やタンニンなどが含まれ、抗菌・抗真菌作用がある。花蕾にはサポナリンが含まれる。漢方では清熱解毒・殺虫・止痒の効能があり、下痢や帯下、脱肛、皮膚炎、痔や脱肛などに用いる。

 一般にはチンキ剤とした水虫やタムシの治療薬としてよく知られ、日本でも市販されている水虫治療薬にはしばしば木槿皮エキスが配合されている。木槿花は半ば開花したときに摘み、乾燥させてから使用する。

 木槿花には清熱燥湿・涼血の効能があり、細菌性胃腸炎による下痢や嘔吐、下血などに用いる。木槿子は頭痛、片頭痛、咳嗽などの治療に用いる。

2015/12/03 15:56

○礞石(もうせき)

 礞石といえば一般に青礞石のことを指すが、そのほか金礞石をいうこともある。青礞石は粘土鉱物のひとつで、緑泥石に曹長石が混ざった緑泥片岩(Chlorite schist)のことである。

 緑泥石は鉄、マグネシウム、アルミニウムなどを含む含水ケイ酸塩鉱物であり、多量の鉄を含むために通常は緑色であり、そのため緑泥片岩は青灰~灰緑色で、、真珠のような光沢を帯びている。一方、金礞石は雲母と石英、長石などを含む雲母片岩(Mica schist)であり、全体としては黄褐色で黄金色の光沢がある。とくに金礞石と指示のない場合は、礞石として青礞石を用いる。

 漢方では去痰・定驚の効能があり、頑固な痰塊や硬結、食積、腫瘤、ひきつけ、痙攣、精神病などに用いる。質量が重く、気を降ろす性質があり、「治驚利痰の聖薬」といわれている。癲癇や精神障害、痰が絡んだ呼吸困難のときには黄芩・沈香などと配合する(礞石榱痰丸)。