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2015/07/09 10:33 | 印刷

○麻薬(まやく)

 麻薬とは陶酔感や多幸感などの効果があり、反復使用することで習慣性や依存性を生じ、慢性中毒を起こす薬物のことである。ただし、一般には麻薬とは法的に定められた用語であり、規制の対象となるアヘンアルカロイド系麻薬、コカアルカロイド系麻薬、合成麻薬、大麻の4種に大別される。また、中枢神経を刺激して興奮作用のあるものは覚醒剤といわれ、麻薬と同様に取締法で規制されている(麻薬及び向精神薬取締法)。

 アヘン(阿片)はケシの未熟果実から採取される乳液を乾燥させたもので、作用の主体はモルヒネである。このモルヒネをアセチル化したものは、ヘロインと呼ばれている。

 ケシは西アジア原産で、現在では中央アジア、インド北部、東南アジアなどで栽培されている。日本でも室町時代から津軽地方などで栽培され、「ツガル」と呼ばれていた。ヨーロッパでは16~17世紀ごろにアヘンチンキが販売されるようになって広がり、19世紀には大流行した。

 18世紀後半、イギリスの東インド会社はインドでケシを栽培し、アヘンを中国へ輸出するようになり、清国ではアヘン中毒患者が蔓延した。現在でも、世界各地でヘロインが密造され、注射によるエイズ感染も問題化している。

 コカインはアンデス地方のコカの実から抽出される成分である。南米のインディオは古くから固化の歯を噛む習慣があり、疲労感や空腹感を紛らわしていた。16世紀にインカ帝国を征服したスペイン人によってヨーロッパに伝えられた。

 1859年にコカインが抽出され、19世紀後半には局所麻酔薬として眼科手術、またアヘン嗜癖の治療薬として医療に用いられるようになった。同時に、欧米では嗜好料としても広がった。コカインは白い粉末で「スノー(雪)」などと呼ばれ、おもに鼻腔吸入法で使用されている。現在、南米をはじめ欧米や日本でもヘロインに代わるドラッグとして問題化している。

 タイマ(大麻)はアサ(麻)の未熟花穂や葉に含まれる樹脂で、特にインド大麻に麻酔性の強いカンナビノイドが含まれている。この葉を乾燥したものはマリファナ、樹脂のエキスはハッシシュと呼ばれている。一般に葉をタバコに混ぜて吸煙する。またハッシシュを詰めて吸う専門の喫煙具もある。

 吸煙すると解放感や陶酔感が訪れ、幻覚がみられるようになる。依存性や禁断症状は比較的少ないといわれるが、長期間の使用により肉体的な衰弱や無気力状態に陥ることが報告されている。大麻の喫煙は西アジアやアフリカなどで行われていたが、社会的に問題化したのは1960年代のアメリカの若者の間で広まったことによる。日本では大麻取締法で規制されているが、欧米では国や州によって吸煙が認められているところもある。

 サボテンの一種であるペヨーテに含まれる成分のメスカリンには幻覚作用がある。ペヨーテは取締りの対象になっていないが、メスカリンは日本では麻薬に指定されている。

 マジックマッシュルームとは幻覚作用を有するキノコの総称で、10種類以上が知られている。一般に中南米やハワイ、パリ島などで採取されているが、日本に自生しているものもある。幻覚作用を起こす成分は、シロシビンまたはシロシンと呼ばれ、摂取すれば極彩色の幻覚や感情の異常な高揚、酩酊常態がみられる。中毒や死亡例も報告されており、2002年に麻薬として規定されている。

 また、古代メキシコで呪術的な儀式に使用されていたシソ科のメキシコサルビア(Salvia divinorum)には、その成分に強い幻覚作用のあるサルビノリンAが含まれている。近年、日本においてこのサルビアが濃縮サルビアという名前で流通していたが、現在では指定物として規制されている。

 合成麻薬として麦角アルカロイドから誘導された物質LSDがある。1938年、スイスの科学者ホフマンが麦角アルカロイドの誘導体の研究中に幻覚体験に陥ったことがきっかけでLSD25(リゼルギン酸ジエチルアミド)が発見された。ちなみにLは化学名、Sはサンド社、25は最初に合成された1938年5月2日を意味している。

 覚せい剤として知られるアンフェタミンやメタンフェタミンは、麻黄(マオウ)の成分であるエフェドリンから合成された薬物である。覚醒剤は第二次世界大戦において兵士の士気の高揚や眠気の予防に各国の軍隊で利用され、日本でもヒロポン(メタンフェタミン)が支給された。戦後に備蓄されていたヒロポンが大量に放出され、世界で初めて日本において覚醒剤中毒が問題化した。

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