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○白芨(びゃくきゅう)

 関東以西の西日本、朝鮮、中国、台湾などに分布するラン科の多年草シラン(Bletilla striata)の球形を用いる。日本には奈良時代に渡来したとされる。

 紫蘭の名のとおり紅紫色の花が咲き、観賞にも栽培されているが、白い花のシロバナシランというのもある。花は蘭茶として飲まれることもある。地下にはカタツムリのような偏圧球形の数個連なっている。この球形を蒸したり、湯通しした後で乾燥する。

 成分には多糖類で粘液質のブレティラグルコマンナンやデンプンが含まれ、止血、抗潰瘍、抗菌作用などが報告されている。この粘液は陶磁器の絵つけや七宝などの工業用の糊としても用いられている。

 白芨は収斂止血の要薬とされ、古くから肺癆などで喀血するときに用いられている。最近の中国では肺結核や硅肺の治癒を促進する補肺作用もあると考えられている。肺結核や気管支拡張症などには白芨を粉末にして単独で用いることが多い。煎じると効力が落ちるという説もある。

 肺結核には枇杷葉・節藕・阿膠などと配合する(白芨枇杷丸)。胃潰瘍の出血には烏賊骨と配合する(烏白散)。また腫れ物や外傷には粉末を単独、あるいは石膏などと併せて外用する。裂肛や皮膚皸裂には粉末を胡麻油などと混ぜて用いる。

2014/08/05 9:35

○白芥子(びゃくがいし)

 中央アジア原産とされ、ヨーロッパや中国で栽培されているアブラナ科の一年草~越年草、シロガラシ(Brassica alba)の種子を用いる。種子の色が淡黄白色のため白芥子というが、単に芥子といえばカラシナ(B.juncea)の種子のことをいう。

 香辛料としてシロガラシの種子は「洋がらし」すなわちマスタード、カラシナの種子は「和がらし」の原料に用いられる。一般に漢方では白芥子を用い、日本の民間療法では芥子が用いられる。

 白芥子の辛味成分はシナルビンであり、芥子の辛味成分はシニグリンである。シナルビンは共存する酵素のミロシンの作用により加水分解され、イソチアン酸パラヒドロオキシルベンジルを生じる。ただし揮発性がないため鼻に対する刺激はない。芥子と同じく皮膚刺激性があり、また抗菌作用もみられる。

 漢方では温裏・理気・去痰・止痛の効能があり、咳嗽、喀痰、嘔吐、腹痛、中風による言語障害や麻痺、脚気、歯痛、腫れ物などに用いる。白芥子は温化寒痰の常用薬で、痰の多いときに適している。