ホーム蓮の花道雑記
閑話休題
この一ヶ月の間に内藤氏と二度、旅に出た。
旅の事など少し語り論の締めくくりにしようと思う。
一度は七月の下旬の京都花園の法金剛院。二度目は八月のお盆の頃の盛夏の上海であった。

「法金剛院に蓮を撮りに行くんですが、行きませんか」との突然のお誘いに
「行きましょう」と即座に応えた。
法金剛院の蓮の話は氏から何度か聞いていた。ブルーロータスの中でも最も傑作だと思っている一枚も法金剛院で撮ったものだと伺っていた。
勝手にその作品に『観自在』と名ずけていた。

「突然、雨が降ってきたんでお堂の軒下で雨宿りをしてたのね。しばらくして雨が上がって、陽がさしてきたんで蓮池にカメラをかまえたら、これが撮れたの。」

葉脈の透けて見えるグリーンの広大なグラデーションの間にブルーの水面が揺れている。その真ん中に凛とした蓮の蕾が立っている。
尋常な一枚では無い。

「偶然ですか。」
「そう。偶然。」
氏は、『観自在』についてそう断言された。

   愛念愛思胸次を苦む、
   詩文忘却して一字無し。
   唯だ悟道あり道心無し、
   今日猶お愁う生死に沈まんことを。


一休宋純のこの詩はひょっとすると法金剛院の蓮池の傍らで雨宿りをしながら浮かんだものかともおもった。