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6月某日

東京に帰ると又、常の日々に戻った。相変わらずの東奔西走,南船北馬と怒ったり、脅されたり,お願いしたり,貶されたりの消耗戦が日々繰り返される。
軸は選択できない。

増収増益、財務基盤の拡充と営業基盤の強化。付け加えるなら、研究開発力の向上なんていうのもいいかもしれない。
二十四時間、歩いてる時も寝てる時も軸はこれしかない。いつの間にか気がついたら軸はこれだけになっていた。
日経新聞もNHKも財務省も経団連も同友会もこの軸を全面的に賞賛し邁進する。ホリエモンはちょっとセンスがよかったから塀の向こうに行ってしまったが、狢と狸の違いを狢に聞いたら「それは狸に聞いてくれ。」と言うのかしら。

テレビは相変わらずの馬鹿騒ぎをやっていた。
狢が檻から出てくるというのでヘリコプターを飛ばしたり、バイクで追いかけたり『決定的瞬間』を撮るために何百人がかりで絶叫しあっている。



「アホクサ・・」とテレビを消そうとした正にその瞬間であった。
青いサマーセーターを着た彼がライトに照らされ大きく手をあげた。
勝者の微笑みに見えた。
軸が消えていた。

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