
トップページ > 医療福祉専門学校NEWS > コラム(はりきゅう)
『統合医療と鍼灸』
はりきゅう学科 教員 小林郁代
先日、大阪で鍼灸師の学会がありました。そのテーマは「統合医療と鍼灸」です。
「統合医療」というのは、近年注目されている、西洋医学と伝統医学、また其の他の民間療法等(代替医療)を用いて、患者中心の医療を提供する医療のことです。統合医療では、病気の治療とともに予防と保健を重視し、個人の自然治癒力を高めることが目的とされます。そのためにさまざまな治療法をどのように提供できるのかが研究され、統合医療センターという形や病院とその他の治療法との連携などの形で実際に提供されています。
日本の伝統医学である鍼灸も、国の文化として位置づけられ、その継承と発展を期待されています。
鍼灸治療の特徴は、身体の気を調え、自然治癒力を高めて病気を治す力を持たせ、また病気に罹りにくくするところにあります。世界的な統合医療への流れの中、鍼灸師が活躍できる場はさらに広がっていくでしょう。


5月22日(土)に菅平高原サニアパークで高校ラグビーの予選が行われ、
本校のトレーナー部が救護スタッフとして参加致しました。
まずは試合前にテーピングが必要な選手に対して
ラグビーはコンタクト(接触)が激しいスポーツですので、試合中は気が抜けません。
応急処置のテーピングも迅速に行います。
本校で考えるスポーツトレーナーは選手の試合前のコンディショニングから始まり、怪我の場合の治療や試合後のケアまで出来るコメディカルトレーナーを目指しています。
それが出来るのは開業権を持った「ドクター」と「はり師・きゅう師」「柔道整復師」だけになります。
担当:北澤

☆福祉にからむ鍼灸医学の効用について☆
介護福祉学科講師 永井富優子(本校付属臨床施設/鍼灸師)
東洋医学の診断法の一つに望診(ボウシン)というのがあります。望み見てその個体の元気を推し量るという診断法のことです。望み見るのは顔色であったり、姿勢であったり、動作であったりします。
顔色でいうならば、黄色味が過ぎる場合は脾胃(ヒイ)に症状があるのであり、青味が過ぎるのは肝臓に問題があるのです。さらに仔細に望診するのなら目の大小からは肝臓が強いかどうかを知り、唇や舌の色の良し悪しから脾(ヒ)の働きを知ることができます。或いは、遠くの音が良く聞こえるかどうかで腎臓の性能を推測することができるというものです。
これは望診のほんの一端であり、他にも望聞問切(ボウチョウモンセツ)といって、視覚・嗅覚・聴覚・触覚という五感を使った診断といわゆる問診の4つの診断法です。経験的に用いることのできるこれらの基礎的な知識は、自分の身体についてのチェックは勿論のこと、対象となる相手の体調の具合を推し測ることが可能になります。福祉の現場で働く人々にとって、このことは役に立つというだけではなく、大変興味深いものとなるようです。
また、身体に存在するつぼや経絡の基本的な知識も同様に、自分を整えるばかりでなく、直接相手の役に立つものです。
私事ですが、80歳になる私の母などは、時々に私が教えているつぼに家庭用のお灸をするのが日課となっているのですが、自分ひとりですることが難い腰などに灸をしたい場合は近くの親戚まで行って手伝ってもらうといいます。
福祉の現場で働く職員が、そうした知識を持ち合わせていたらどんなにか高齢者は助かることかと思うのです。人は、自分のために努力して勉強するというのは、できそうでなかなかできないというところもあるのですが、目の前の相手のためなら努力できるという一面があります。東洋医学の実際的な知識というのは彼らのそうした一面に応えるものだと考えています。

07.07.04
『画像で見たお灸の皮膚損傷の再生過程』
~全日本鍼灸学会学術大会 岡山大会に出席して~
6月8日~10日にかけて岡山県倉敷市において上記の学術大会が開かれた。今回、画期的かと思われた発表は、施灸による皮膚組織の損傷の再生・修復過程を形態学的に電子顕微鏡による画像で見せたものであった。明治鍼灸大学の熊本教授(解剖学)による発表である。
ラットの足底の肉球に1壮の透熱灸を施して時間経過とともに組織を採取してその変化を観察したものである。それによると、損傷皮膚組織は最初、周囲より中心に向かって徐々に修復される。表皮の下の真皮の血管・神経束・汗腺の導管なども損傷・壊死しているが、修復表皮は損傷部位を覆って層状に形成され、肥厚して修復されていく。表皮上方に残されたものは痂皮となって脱落する。表皮下に残された損傷組織にはフィビィリンが沈着し、破壊された細胞はマクロファージに吸収される。弾性組織の線維芽細胞は大きさと数を増して、肥満細胞とともに分布して免疫陽性反応が見られる。(施灸後6~8日)
修復過程のうちでも特に目立ったのは神経線維の再生であった。施灸中心部では皮下組織の神経線維までもが消失したが、施灸後2~3日目から徐々に数を増して周囲から中心部に向かって伸長し始め、皮膚組織の修復が終わった後も(6~9日)多数の神経線維が再生した後、正常な数へと減少した。(自律性・感覚性線維)これらの神経線維はまるで大根の髭根のように増えていき、その後少し減っていくのが見えた。血管については鮮明でないためか私には読み取ることができなっかたが、内皮細胞から増殖していき本管につながったとの説明があった。
お灸の実技授業を担当しているだけでなく、施術院においても灸を多用している私としては楽しみにしていたプログラムであったが、期待以上の発表と思われた。
尚、他にも副交感神経系の活性化が過剰な炎症反応や過剰な免疫反応を制御し得ること、同じく副交感神経系の活性化がリンパ球を活性化して癌の再発を抑えた例の発表などがあいついで施術を進めていく上での理論の推進力となるかと思われる。
著:信州医療福祉専門学校 はりきゅう学科
教員 永井富優子