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07.07.04
『画像で見たお灸の皮膚損傷の再生過程』
~全日本鍼灸学会学術大会 岡山大会に出席して~
6月8日~10日にかけて岡山県倉敷市において上記の学術大会が開かれた。今回、画期的かと思われた発表は、施灸による皮膚組織の損傷の再生・修復過程を形態学的に電子顕微鏡による画像で見せたものであった。明治鍼灸大学の熊本教授(解剖学)による発表である。
ラットの足底の肉球に1壮の透熱灸を施して時間経過とともに組織を採取してその変化を観察したものである。それによると、損傷皮膚組織は最初、周囲より中心に向かって徐々に修復される。表皮の下の真皮の血管・神経束・汗腺の導管なども損傷・壊死しているが、修復表皮は損傷部位を覆って層状に形成され、肥厚して修復されていく。表皮上方に残されたものは痂皮となって脱落する。表皮下に残された損傷組織にはフィビィリンが沈着し、破壊された細胞はマクロファージに吸収される。弾性組織の線維芽細胞は大きさと数を増して、肥満細胞とともに分布して免疫陽性反応が見られる。(施灸後6~8日)
修復過程のうちでも特に目立ったのは神経線維の再生であった。施灸中心部では皮下組織の神経線維までもが消失したが、施灸後2~3日目から徐々に数を増して周囲から中心部に向かって伸長し始め、皮膚組織の修復が終わった後も(6~9日)多数の神経線維が再生した後、正常な数へと減少した。(自律性・感覚性線維)これらの神経線維はまるで大根の髭根のように増えていき、その後少し減っていくのが見えた。血管については鮮明でないためか私には読み取ることができなっかたが、内皮細胞から増殖していき本管につながったとの説明があった。
お灸の実技授業を担当しているだけでなく、施術院においても灸を多用している私としては楽しみにしていたプログラムであったが、期待以上の発表と思われた。
尚、他にも副交感神経系の活性化が過剰な炎症反応や過剰な免疫反応を制御し得ること、同じく副交感神経系の活性化がリンパ球を活性化して癌の再発を抑えた例の発表などがあいついで施術を進めていく上での理論の推進力となるかと思われる。
著:信州医療福祉専門学校 はりきゅう学科
教員 永井富優子