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『想像力』
先日,教育改革に関するテレビの公開討論番組の中で「想像力」という言葉を耳に致しました.「想像」とは「実際には経験していない事柄などを推し量ること,また現実には存在しない事柄を心の中に思い描くこと」だそうです.このことから「生きる力」としての「想像力」を考えてみますと,真に相手を思いやり,また己の人生を豊かにする力と言えるのではないでしょうか.もし想像力がなければ,時に正論であっても相手を傷つけたり場を悪くしたりするでしょう.また,自分が悲しいとき,苦しいとき,想像力のおかげで明日への一歩を踏み出せるというような経験は,どなたにもあることだと思います.
「想像力」はより善く生きるための力です.とりわけ,わたしたち医療従事者には必須の力と言えましょう.全ての骨折や脱臼を体験したことのないわたしたちは,患者さんの本当の痛みを知ることはありません.ましてや患者さん個々人のおかれている背景が,その痛みを更に大きくしているのですから,真の苦しみを理解することは不可能です.
学校での学習において,定型的な理論や技術を身につけることは正に基本です.しかしそれらを教科書通りに暗記することが,本校における最終到達点ではありません.基本に立脚した確かな「想像力」を駆使して,患者さん個々人の心まで含めた,適正な治療のできる医療人を輩出することこそが本校の目標なのです.
3学期制の本校は,ただ今中期の中間付近です.2年生にとっては3年間の学校生活のまさに真ん中です.また1年生はようやく学校に慣れ,公私共に自信のついてきた頃と思います.在学中にぜひ「想像力」を磨き,より善い医療人になっていただきたいと思います.
暑くて短い夏が終わり,信州は本格的な秋の到来です.四季折々に美しい信州ですが,とりわけ今の時期は,日々高くなる青空と刷毛で散らしたような雲の移ろい,そして凛とした冷たい空気に,胸のすくようなすがすがしい気持ちが致します.この素晴らしい環境の中で,本校から,豊かな感性と応用力をもつ医療人が育つことを切に願っております.
柔道整復学科 教員 二神弘子